浮気・不倫のご相談①

今回は、浮気・不倫が原因で離婚を考えている方からのご相談です。

 

【ご相談】

私は現在、夫の不倫が原因で離婚を考えています。

過去にも不倫されたことがあるので、もう信用できないし完全に気持ちが冷めました。

今は気づいていないふりをして普段通りに過ごしていますが、スムーズに離婚するためには今後どのように動くべきでしょうか。

 

【アドバイス】

ご主人から、一度ならずも二度も裏切られては、そのような気持ちになるのも自然なことですね。

「今は気づいていないふりをしている」というのは、とても賢い態度で、なかなかできることではないと思います。

冷静で賢明な相談者さんに私のできるアドバイスをさせていただきます。

 

1.離婚が認められる「不貞行為」に該当しているか。

まず検討しなければいけないのが、ご主人の行動が、離婚の認められる「不貞行為」に該当しているかどうかです。

離婚は、夫婦の同意があればどんな理由でも可能ですが、相手が離婚に同意しない場合には、「法定離婚事由」といって、法律上離婚が認められる原因があることが必要です。

「不貞行為」は法定離婚事由の一つです。

 

法律上の「不貞行為」はどのようなことを指すかというと、「配偶者以外の相手と、自分の意思で肉体関係を持つこと」です。

 

一般的に私たちが「不倫」と呼んでいるのは、もう少し広い概念だと思います。

人によっては、二人きりで食事をしたり手をつなぐだけでも不倫だと考えるかもしれませんが、それはその人にとっては「不倫」であっても、法律上「不貞行為」とは認定されません。

 

2.「不貞行為」があっても、一度限りの関係では認められにくい。

一度でも配偶者以外と肉体関係を持てば「不貞行為」ですが、裁判で離婚が認められるには、一度限りの関係ではなく、ある程度継続的に行われていることが必要です。

一度限りの関係の場合、夫婦関係を破綻させるとまでは考えられていないからです。

 

継続的とまでは言えない程度の不貞行為で離婚が認められるためには、それに加えてほかにも夫婦関係が破綻していると認められるような事実が必要となることがほとんどです。

たとえば生活費をほとんど払っていなかったり、勝手に家を出てしまったりなどといった事情です。

 

3.「不貞行為」を証明するには?

相談者さんが、現在どのように不倫の事実に気づいたのかわかりませんが、不貞行為を理由に裁判で離婚することになった場合や、慰謝料を請求する場合、証拠が必要となります。

 

不貞行為の証拠は、どのようなものがあるでしょうか。

不貞行為は二人きりの密室で行われることが一般的なので、証拠を得ることは意外と難しいものです。

そのため、不貞行為を証明できるまでとはいかなくても、不貞行為を「推認」できるものを証拠として提出することが多くなります。

 

例えば、不貞行為の現場までは押さえることはできませんが、ラブホテルに二人で数時間滞在したことを証明することができれば、不貞行為を推認する証拠となります。

 

具体的な証拠としては、次のようなものが考えられます。

 

①写真や動画での記録

これは有力な証拠となります。

一番証拠として強いのは、配偶者と不貞相手が裸でラブホテルなどに滞在している写真、動画です。

ただ、このような写真等を配偶者が人が見られるように管理していることは少ないでしょうから、現実的には入手することが難しそうです。

推認させる証拠として、配偶者と不貞相手がラブホテルに出入りする現場の写真、動画を撮るという方法もあります。

 

②不貞を認めた音声データ

配偶者に不貞行為のことを問いただした際などに、相手が不貞行為が事実だと認める発言をすることもあります。

これも証拠となりえます。

配偶者との話し合いの際は、念のためICレコーダーなどを用意しておくとよいでしょう。

 

③不貞の事実を匂わせるメール等

配偶者の不貞に気づくきっかけとして多いのが、メールのやりとりなどです。

単に異性と食事の約束をしたり、親しげなメールをしているだけでは、不貞行為の証拠とはなりません。

ただし、「またホテルに行こう」など、不貞行為を推認させるような内容であれば、証拠として認められる可能性があります。

 

④探偵事務所の調査報告書

自力で証拠を集めることが難しい場合、探偵事務所に依頼するという方法もあります。

費用も掛かりますし、質の良い事務所かどうかはよく検討する必要がありますが、最後の手段として考えてみる価値はあると思います。

 

4.まとめ

不倫を理由に離婚を考えている場合、相手が離婚に応じてくれるかどうか探りを入れてみましょう。

応じてくれそうになかったり、不貞行為を認めそうにない場合は、配偶者の行為が法律的な「不貞行為」に該当するかを検討し、不貞行為に該当しているのであれば、相手に気づかれないように証拠をそろえていきましょう。

裁判で認められない証拠であっても、話し合いをするときの材料として使うことができる証拠もありますので、不貞相手との親密なメールであったり、デートで利用したであろうレストランの領収書であったり、あなたの日記であったり集められる限りの証拠を集めましょう。

その準備ができたうえで話し合いをし、相手が離婚に応じない、離婚には応じるけれど不貞行為を認めない(=慰謝料を支払いたくない)という場合には、離婚調停の申し立てなども検討しましょう。

 

 

 

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