養育費の計算についてのご相談

今回は、養育費の計算についてのご相談です。

 

【ご相談】

夫と離婚することが決まりましたが、養育費をどうするかで夫と意見がまとまりません。

6歳の息子と4歳の娘がおり、私が親権を取って育てていくことは決まっています。

私としては、子供一人につき月5万円で合計月10万円を払ってもらいたいと思っていますが、夫は一人につき3万円くらいが相場だから、合計月6万円までしか払えないと言っています。

どのように養育費を決めれば公平になりますか?

なお、私の年収は200万円程度、夫の年収は600万円程度で、お互い会社員です。

 

 

【アドバイス】

離婚が決まり、養育費について話し合いをされているのですね。

離婚成立前に養育費についてしっかり話し合いをすることはとても大切です。

では、私にできるアドバイスをさせていただきます。

 

1.養育費の基本的な考え方

養育費は、子供が成熟するまで(基本的には20歳になるまで)の間、父と母で分担して負担するべきものです。

 

養育費を決めるルールは特になく、夫婦間で納得していれば自由に決めることができます。

養育費は、子供が離婚前と同水準の生活を送れるような内容にすることが理想です。

養育費は、「生活保持義務」に基づくものだからです。

生活保持義務とは、自分の生活と同じレベルの生活を保持させる義務のことです。

 

離婚前の子供の生活水準を考え、子供の衣食住にかかる費用、進学の予定、習い事など子供の養育にかかる費用全般を計算してみましょう。

そして、その金額を夫婦の収入などに応じて分担します。

 

たとえば、子供一人の養育に月9万円かかると考えた場合、その9万円を父と母の収入のバランスに応じて負担する金額を決めます。

 

父の収入が母の収入の2倍であれば、父6万、母3万の分担として、養育する母に対し、父が毎月6万円支払う、というように決めることもできます。

 

ご相談者さんの場合も、まず子供の養育にかかる月額を具体的に算定してみて、その金額をご主人と相談者さんの収入割合に応じて分担額を出してみてはいかがでしょうか。

 

ただし、これはあくまでも計算方法の一例であり、収入と養育費の分担割合を同じにしなければいけないという決まりがあるわけではありません。

 

2.養育費を計算するときの算定表

養育費は請求する側は高い金額を求め、支払う側は低い金額を求めることが普通で、お互いの利益が対立します。

そのため、当事者の意見だけで金額の折り合いをつけるのは難しいことが多いです。

 

そのような場合、家庭裁判所でも採用されている、養育費の算定表を用いて目安となる金額を調べてみましょう。目安となる金額がわかれば、話し合いがしやすくなります。

この方法であれば、お互いにある程度の公平感を感じられるのではないでしょうか。

 

算定表は、請求する側の年収と職業(自営業か会社員か)、支払う側の年収と職業、子供の人数と年齢を基にして計算します。

 

今は、この算定表に基づいて養育費を自動計算できるツールもありますので、それを使うとより簡単に養育費を算出できます。

 

たとえば、以下の自動計算ツールも便利です。 

ricon-restart.jp

 この自動計算ツールでご相談者さんの養育費を算定してみます。

 

①子供の人数と年齢の欄に、一人目「0~14歳」にチェック、二人目「0~14歳」にチェック、三人目「無し」にチェックを入れます。

②次に権利者の職業と年収の欄に、権利者=相談者さんの年収「200」万円を入力、職業「会社員」にチェックを入れます。

③最後に義務者の職業と年収の欄に、義務者=ご主人の年収「600」万円を入力、職業「会社員」にチェックを入れます。

 

そして、「養育費を計算する」をクリックすると、8~10万円という結果が出てきました。

 

ご相談者さんのケースでは、月8~10万円の養育費が相場ということになります。

ご相談者さんの求める一人5万円で合計10万円という金額は、相場から見ても妥当である可能性が高いでしょう。

ご主人が口にしていた相場は3万円というのは、年収などの条件を無視したものだと思われます。

 

ただ、ご主人の意見や事情もよく聞いてみる必要があります。

たとえば住宅ローンの有無などによっては、月々10万円の支払いが現実的でない場合も考えられます。

実現性の低い約束をしても、あまり意味がありません。

そのような場合は、お互いに歩み寄り、たとえば月8万円にするなども検討してみましょう。

 

ご主人には、子供の養育にかかる費用を具体的な根拠を説明したうえで、この算定結果を見せて話し合ってみてはいかがでしょうか。

 

3.話し合いで決められない場合 

算定表の金額を目安にしても双方またはどちらかが納得できず、このまま養育費の折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをすることになります。

 

調停では、家庭裁判所の調停委員が当事者の意見や事情を聞いて、養育費についての助言や提案をしていきます。そして、話し合いの結果双方が納得する結論が出れば調停成立となります。

 

ただ、調停になった場合でも、特殊な事情がない限り調停委員は基本的には算定表通りの金額を提案してくることがほとんどです。

 

それであれば、はじめから算定表にしたがって養育費を決める方がお互いにとって手間や時間をかけずに済むのではないでしょうか。

 

調停が不成立になった場合は、「審判」という手続きに移ります。

審判では、当事者が納得していない場合でも、裁判官が当事者の事情を考慮の上、判断を下すことになります。

審判の場合でも、算定表どおりの結果になることがほとんどです。

 

4.養育費が決まったら

養育費についての話し合いがまとまった場合、その合意内容を文書にすることが大切です。

養育費は、長期にわたって支払いが続くものなので、口約束では支払われなくなってしまうリスクがとても高いのです。

養育費が支払われなくなった場合に、証拠となる合意文書が必要となります。

 

文書には、次の点を具体的に記載しましょう。

①子供一人一人の養育費の金額・・・まとめていくらという書き方ではなく、具体的に、○○(子供の名前)に月いくら、というように一人一人について記載しましょう。

②養育費をいつまで支払うか(期間)

③養育費の支払い時期・支払い方法

④特別費の負担について・・・特別費とは、進学時の入学金など、不定期に発生する費用のことです。この費用をどうするかについても、できるだけ決めておくことが望ましいです。

 

文書は、できるかぎり「公正証書」で作成することをお勧めします。

公正証書は、公証役場という公的機関で作成され、保管されるもので、自分たちで作成した私文書よりも強力な証拠として認められます。

 

また、公正証書には「強制執行認諾文言」という、約束を破ったら強制執行することを認めます、という意味の文言を付けることができます。

これを付けることで、万一養育費の不払いが起きたとき、裁判を行わずに相手の財産を差し押さえることができます。

 

このため、公正証書を作っていれば、相手にとってはプレッシャーとなり、安易な気持ちで不払いとなることを防ぐ効果もあります。

 

■まとめ

養育費は生活水準などに合わせて自由に決めることができますが、お互いの意見が一致しない場合は算定表を目安にすると双方が納得しやすくなります。

 

仮に調停等の家庭裁判所の手続きになった場合でも、算定表通りの結論となる可能性が高くなります。

 

養育費が決まった場合、その合意内容を必ず文書にしましょう。

 

 

 

 

 

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