今回は、離婚後の面会交流についてのご相談です。
【ご相談】
夫と離婚することになり、子供の親権は私がとります。
養育費についても話し合いでなんとか合意することができました。
ただ、一つ問題が残っています。
離婚後に夫からは毎月子供に会いたいと言われていますが、私は会わせたくありません。
私に対するモラハラなどが原因で別れますので、もう夫との接点を持ちたくないのです。
夫に子供を会わせないとまずいのでしょうか?
【アドバイス】
離婚後にご主人と子供を会わせたくないとおっしゃる方は多いですね。
私にできるアドバイスをさせていただきます。
1.面会交流の意義と決め方
離婚して子供と一緒に暮らさなくなる親には、子供と会ったり、電話や手紙などで連絡を取ったりして子供と交流する権利があります。
これは親にとっての権利であると同時に、子供にとっての権利でもあります。
親子であれば、交流したいと思うのは自然な感情です。
離婚する際、面会交流についてもしっかりと取り決めておくことで後日のトラブルを防止できます。
面会交流をさせるか否か、させる場合にはその方法、日時、場所、回数などについて具体的に決めておくことが大切です。
決めた内容は文書にして、双方の署名捺印をして残しておきましょう。
当事者間の話し合いで合意できない場合には、面会交流を求める親が家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
調停では、調停委員がそれぞれの当事者から話を聞いて、面会交流の可否や方法などについて助言や提案をしていきます。それにより当事者が納得する結論が導き出されれば、調停成立となります。
調停でも双方が合意できない場合には、審判の手続きに移行し、審判では裁判官が判断を下すことになります。
2.面会交流を拒否できるケース
面会交流は基本的には親と子の権利ですので、子供の親権者が拒否することは難しいです。
家庭裁判所も、現在は面会交流の重要性を認識しており、多くの場合面会交流は認められています。
ですが、例外的に拒否できるケースもあります。
それは、面会交流させることが「子供の福祉に反する場合」です。
そのような場合は、家庭裁判所も面会交流をさせない判断を下すことになります。
子供の福祉に反する場合というのは、子供にとって有害である場合のことです。
たとえば、子供に暴言や暴力をふるうような親と交流させることは、子供の身を危険にさらすことになります。
他にも、アルコール依存症や薬物中毒の親なども子供に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
このような場合は、面会交流を拒否できるでしょう。
ご相談さんの場合は、妻へのモラハラがあったようですが、それだけで子供との面会交流を拒否することは難しいと考えられます。
次に、子供がある程度の年齢に達していて分別がある場合に、子供自身の意思で「会いたくない、交流したくない」という場合です。
ただ、これには注意が必要で、子供が本心から言っているのかはよく見極める必要があります。
子供は親に気を遣うことがあり、親が会わせたくないと思っていることを察して、会いたくないと言っている場合もあるからです。
ご相談者さんのお子さんの年齢がわかりませんが、子供の意見も聞いてみてください。
3.面会交流をさせるべき理由
離婚するほどの相手ですから、子供に面会交流をさせたくないと思う気持ちは理解できます。
ですが、子供の立場で考えたとき、本当に面会交流を妨げることが正しい選択なのかは冷静に考えてみましょう。
子供は両親の離婚で傷ついてしまうことがほとんどです。
子供の健全な育成を考えたとき、たとえ両親が離婚したとしても、両親双方からの愛情を感じられる環境はとても大切です。
面会交流を続けることで、たとえ両親が離婚しても、自分への愛情は変わらないと感じることができれば、子供の精神は安定するのではないでしょうか。
もし自分にとっては良い伴侶でなかったとしても、子供にとって悪い親とは限りません。
客観的に子供との関係性はよく見極めることが大切です。
また、面会交流の有無が養育費の問題に影響を与えることが多々あります。
養育費の取り決めをしていても、不払いになるケースはとても多いです。
特に、子供と面会交流していない親は不払いになりやすい傾向があります。
まったく交流のない子供に対し、同居していたころと同じように責任感や愛情を維持することができる親は多くはないのかもしれません。
定期的に面会交流を続けていれば、養育費を払っていないと子供に合わせる顔がない、という気持ちになることも想像がつくでしょう。
そのような意味でも、面会交流はできるだけさせるべきだと考えます。
■まとめ
面会交流は、基本的には拒否することは難しいものです。
子供の立場に立った時、面会交流させないことが本当に正しい選択なのかは冷静に判断しましょう。
また、養育費の不払い防止の効果を期待できるという意味でも、面会交流はできるかぎりさせてあげましょう。