別居時に用意する書類に関するご相談

今回は、離婚前に別居を考えている方からのご相談です。

【ご相談】
妻と離婚の話し合いをしており、離婚前に別居しようと考えています。
私が家を出る形になりますが、その際に準備しておいた方がいい書類などはあるのでしょうか。

【アドバイス】
離婚前に別居される夫婦は多いですね。
衝動的に別居してしまうと、必要な書類を別居前の家に置いてきてしまい後から困るようなケースもあります。


離婚の際には様々な書類が必要となります。

主に以下の書類を用意することをお勧めします。

1.収入のわかる資料
離婚前に別居をする場合、別居中も夫婦は婚姻費用を分担する必要があります。
婚姻費用というのは、生活費と考えてもらえば大丈夫です。
婚姻費用は、夫婦それぞれの収入をもとに計算することになります。


そのため、夫婦の収入がわかる資料が必要です。
給与所得者の場合、昨年末に勤務先で発行された源泉徴収票を用意しましょう。
基本的に、源泉徴収票の支払金額の欄に書かれた金額をもとに婚姻費用を計算することになります。

お子さんがいる場合、離婚後の養育費もこの源泉徴収票に書かれた夫婦の年収をもとに計算することになります。

自営業者の場合には、前年度の確定申告書を用意しましょう。

また、家庭裁判所での婚姻費用の調停をする際、給与明細3か月分の提出が必要になる場合があるため、給与明細もきちんと手元に残しておきましょう。

2.共有財産のわかる資料
離婚するときには、結婚期間中に夫婦で協力して築いた財産(共有財産)を分け合うことが必要です。これを財産分与といいます。
財産分与をするためには、共有財産を把握しておく必要があります。
共有財産には様々なものがありますが、主なものについて説明します。


①預貯金
財産分与の際は、通常別居時の残高を共有財産として算定します。別居後に増えた預貯金は夫婦で協力して築いた財産とは考えない場合が多いからです。
通帳の記帳を行い、別居時の残高を確認しておきましょう。

また、自分の口座から引き落とされている固定費の内容を確認しておきましょう。電気代、ガス代、水道代、新聞代、家賃、通信費などがどれだけかかっているかを把握しましょう。婚姻費用を算定するときに、このような固定費を自分が負担している場合には、すでに婚姻費用を分担していることになり別途支払う必要はない可能性があります。

結婚前から持っていた預貯金は原則として財産分与の対象にはならないので、結婚前の時点の残高も把握するために古い通帳なども手元に置いておきましょう。
また、配偶者が預貯金を隠す可能性があるため、配偶者の預貯金の情報(金融機関名、支店名、口座番号、残高など)を記録しておきましょう。

 

②不動産
結婚後の購入であれば、不動産も財産分与の対象となります。
不動産の内容や評価額を把握できる資料を用意しておきましょう。
法務局で取得できる不動産の登記事項証明書、毎年自治体から送られてくる固定資産税課税明細書、不動産購入時の売買契約書や住宅ローンの契約書などを用意しておきましょう。

③生命保険、有価証券
解約すれば解約返戻金を受け取れる生命保険は財産分与の対象になります。生命保険については、解約返戻金の予定額が共有財産を計算するときの評価額になります。

株式などの有価証券も結婚後に取得したものであれば基本的に財産分与の対象となります。 共有財産の評価は、基本的に離婚時の株式の時価となります。

生命保険については保険証券を、株式などの有価証券については証券会社の残高証明書などを用意しておきましょう。

④自動車
自動車については時価が共有財産を計算するときの評価額となります。
時価は、中古車販売店のホームページなどを参照して、同じ車種、年式、走行距離などのものを探してみましょう。
自動車については、車検証の写し一式を用意しておきましょう。

 


3.債務の内容がわかる資料
結婚後の債務がある場合、債務の内容がわかる資料を用意しておきましょう。
多いのは、住宅ローンや自動車ローンでしょう。
ローンを組んだ時の金銭消費貸借契約書や、支払予定表などを一式用意しておきましょう。


債務の残高がプラスの共有財産よりも多い場合には、財産分与は基本的には行いません。
ただし、債務も夫婦で分け合うかというと通常そのようなことはなく、債務者になっている人が一人で債務を引き続き返済することになります。

4.相手が有責の場合、その証拠となる資料
相手に離婚原因がある場合、その証拠となる資料を別居前に集めておきましょう。
別居してしまうと入手するのが困難になります。


たとえば不貞行為があった場合、相手と不貞相手が写った写真、相手の行動を記録した日記、相手と不貞相手のメールのやり取り、不貞相手からもらった手紙やプレゼント、相手が不貞相手と使ったクレジットカードの利用明細など、少しでも役に立ちそうなものは記録を残しておきましょう。


裁判などの証拠としては使えなくても、相手との交渉の際に役に立つこともあります。

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