今回は、面会交流の約束を実現する方法についてのご相談です。
ご相談
現在、妻と離婚協議をしているところです。子供が二人いますが、私一人で子育てすることは現実的でなく、親権については妻に譲るしかないと考えています。
ただ、毎月の子供たちとの面会交流を実施することを条件にしたいと思っています。
妻も現時点では、面会交流には応じると言っていますが、これまでの妻の言動を考えると約束を本当に守るのか不安を感じています。
妻に約束を守らせるための対策はありますか?また、約束を破った場合に強制する方法はありますか?
アドバイス
親権を譲る代わりに面会交流の実施を求めるのは、親として自然なことですね。
私にできるアドバイスをさせて頂きます。
1.面会交流は子供にとっての権利でもあり、拒否は原則不可
面会交流は、親にとっての権利であると同時に、子供にとっての権利でもあります。
親の勝手な都合で面会交流を拒否することは、原則的に認められません。
ただし、面会交流させることで子供に悪影響があるような場合には、拒否することが認められることがあります。
2.面会交流の約束不履行を防ぐには、離婚時に公正証書で取り決めを行う
面会交流の約束不履行を防ぐには、養育費の話と併せて面会交流についてしっかりと取り決めを行いましょう。離婚協議書は公正証書で作成しその中に面会交流についても記載することが大切です。
内容は、できるだけ具体的に定めておくほうがよいでしょう。以下の内容などについて、きちんと取り決めておきましょう。
①面会交流の方法(直接会う、電話、メール、手紙など)
②面会日や時間
③面会の頻度
④面会する場所
⑤送迎方法
⑥交通費をどうするか
公正証書を作成する場合、基本的に当事者双方が公証役場に出向き、公証人の前で約束内容を確認の上、書類に署名捺印をします。
そのため、当事者間で作った離婚協議書以上に心理的なプレッシャーを感じることが多く、約束を守る可能性が高くなります。
ただし、たとえば養育費などの金銭的な請求権については、「約束を破ったら強制執行に服する」という旨の文言を付けることができますが、面会交流についてはそのような文言を付けることはできません。
3.約束を破られた場合
面会交流の約束を相手が守らない場合の対応としては、まずは面会交流調停の申し立てをすることが考えられます。
相手が約束を守らないからといって、自力で勝手に子供を連れだすようなことは絶対にやめましょう。場合によっては、未成年者略取・誘拐などの罪に問われる可能性があります。
調停による話し合いをしても不成立となった場合、自動的に審判の手続きに移行します。そこで家庭裁判所が面会交流を認める決定を出してもらうことで、面会交流の権利があることを確定してもらうことができます。
4.調停や審判の決定にも相手が従わない場合
調停や審判で面会交流が決定したにもかかわらず、相手がそれに従わない場合には、2つの対処法が考えられます。
①家庭裁判所に申し出をして、履行勧告を出してもらう。
履行勧告は、家庭裁判所が、約束を守らない相手に対し、電話を掛けたり書面で通知することにより、面会交流を行うように勧告することです。
この申し出は、簡単に調停、審判を行った家庭裁判所に電話等で申し立てることができます。
②家庭裁判所に間接強制の申し立てをする。
間接強制は、面会交流を拒否すると、一回当たりいくらのペナルティーを支払う、という命令を家庭裁判所が出すことで、間接的に面会交流を強制することです。
面会交流については、子供の気持ちなどもあるため直接的な強制執行は認められていませんが、金銭的なペナルティーを与えることによる間接強制は認められているのです。
近年、裁判所は面会交流の重要性を認識しており、間接強制のペナルティーも高額を命じるケースも多くなりました。一度も面会交流の約束を守らないような悪質なケースでは、1回あたり50万円以上のペナルティーを課したケースもあります。