養育費の連帯保証人についてのご相談

今回は、養育費の連帯保証人についてのご相談です。

 

ご相談

もうすぐ夫と離婚する予定です。

子供が二人いて、私が親権者になります。

養育費について、相場通りの金額を子供たちが20歳になるまで払ってもらうという約束を夫としました。

ただ、夫はいい加減な性格で金銭的にルーズなところがあります。

養育費をきちんと払い続けてくれるのかとても心配です。

夫の両親は常識があり経済的にも余裕があるので、夫の両親に養育費の連帯保証人になってもらいたいと思っています。養育費の支払いについて連帯保証人をつけることに問題はありますか?

 

アドバイス

養育費をきちんと払い続けてもらえるかは心配ですよね。私にできるアドバイスをさせていただきます。

 

養育費に連帯保証人をつけることは可能

養育費に保証人をつけることについて、特に禁止されているわけではありません。

保証人になることを連帯保証人本人と養育費の支払い義務者が同意していれば、連帯保証人をつけることは可能です。

連帯保証人をつけるには、連帯保証人の同意書をとりつける必要があります。

 

ただし、養育費というのは、扶養義務のある親だからこそ支払う義務があるものです。支払い義務者本人が死亡した場合、養育費の支払い債務は消滅することになり、連帯保証人に支払いを請求することはできません。

 

公正証書を作ることは難しい

養育費に連帯保証人をつける場合、後で強制執行をすることなどを考えると公正証書を作成したいと考えるのではないでしょうか。

ただし、公証役場では、養育費に連帯保証人をつけることを認めてもらえない可能性が高いでしょう。

 

養育費について連帯保証人をつけることは、法的な争いになった時の判断が難しいからです。このような争いの元になる可能性が高い内容を公正証書に盛り込むことはなかなか認めてもらえないのです。

 

連帯保証人以外の対策も考える

養育費に連帯保証人をつけることはできないわけではないものの、一般的な方法ではなく、公正証書にすることも難しいことから、養育費の不払いを防ぐベストな対策とは限りません。

他の方法についても検討することをおすすめします。

 

公正証書の作成

養育費の不払いを防ぐ有効な対策としては、公正証書を作成し、不払いが起きたら強制執行ができる旨の文言をつけることです。

自分たちで作成した離婚協議書に養育費について記載した場合には、相手が養育費を払わなくなった時裁判手続きをしなければ相手の財産を差し押さえることはできません。公正証書の場合には、裁判手続きを経ることなく財産の差し押さえができます。

 

自分たちで作成した離婚協議書に連帯保証人をつけるよりも、連帯保証人なしでも公正証書を作成する方がいざというとき役に立つのではないでしょうか。

 

一括払い

相手にまとまったお金がある場合には、養育費を一括払いしてもらう方法もあります。

養育費は毎月一回支払う方法が一般的ですが、支払い方法に決まりがあるわけではなく、一括払いとすることも可能です。

一括払いであれば、途中で不払いになるリスクがないため、受け取る側にとっては安心できる方法です。

ただし、相手にとってもメリットがなければ簡単に応じてくれる可能性は低いでしょう。

一括払いとする場合には、分割払いの総額よりも養育費を減額することが一般的です。

たとえば、毎月5万円の養育費をこれから10年間支払うという場合、養育費の総額は600万円となりますが、一括払いとするのであれば500万円とするといった方法です。

相談者さんのように夫の両親が裕福という場合には、夫が親からお金を借りて養育費を一括払いするという方法もあります。

 

まとめ

養育費の支払いに連帯保証人をつけることは不可能ではありませんが、公正証書にすることが難しいため必ずしも有効な方法とは言い切れません。

公正証書を作成することや一括払いの方法など、他の対策についても検討したうえで、ベストな方法を選択してくださいね。

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