今回は、ご主人と顔を合わせずに離婚をしたいという方からのご相談です。
ご相談
現在夫と別居中で、このまま離婚したいと思っています。
夫には以前離婚したいことをやんわりと伝えましたが、はっきりとした返事はありませんでした。
夫は興奮すると大きな声を出したり、たまに手を挙げることもあるので直接離婚の話し合いをすることは避けたいと思っています。
顔を合わせずに離婚をすることは可能でしょうか。
アドバイス
配偶者と顔を合わせずに離婚の手続きを済ませたいと考えられる方は多いですね。私にできるアドバイスをさせていただきます。
離婚の方法には、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚の方法があり、それぞれ手続きの方法が異なります。
まずは協議離婚することを目指すこととなり、相手が話し合いに応じないなどで協議離婚が不可能であれば調停離婚、調停離婚でも離婚の合意が得られなかったり離婚条件に合意できなければ、最終的には裁判離婚を検討することとなります。
それぞれの手続きで、配偶者と顔を合わせずに済むかを説明します。
協議離婚
協議離婚の場合、当事者同士に離婚の合意が成立すれば、顔を合わせることなく手続きが可能です。離婚届に相手の署名をしてもらう必要がありますが、これは郵送のやり取りでも可能です。
離婚条件(財産分与や慰謝料、子どもがいる場合には親権や養育費など)についても話し合う必要がありますが、必ずしも直接会って話す必要はなく、電話やメール、手紙などでやり取りすることも可能です。
ご主人がこれらの方法での話し合いに応じてくれるのであれば、特に顔を合わせる必要はないでしょう。
調停離婚
調停離婚は、家庭裁判所に申し立てを行い、調停委員を介して当事者同士の意見の調整を図っていく方法です。
調停では当事者双方が家庭裁判所に出頭する必要がありますが、相手と別席を希望することを伝えておけば、基本的に別々で調停の部屋に呼ばれることとなり、相手と顔を合わせる必要はないのが通常です。
ただし、話し合いの結果合意に至った場合には、最後の調停期日では双方の意思確認を行うために、同席になるのが原則です。
例外として、DV被害を受けていたなど同席することが精神的に耐えがたいようなケースでは、最終期日でも別席で対応してもらえる場合もあります。
相手に対して強い恐怖心などがある場合、あらかじめ裁判所にその旨を伝えておけば、できるだけ裁判所内でもばったり会ってしまうことがないような対応をしてくれることも多いです。
裁判離婚
裁判離婚の場合、基本的には代理人の弁護士を双方が立てることになるでしょう。
裁判をするためには、専門的な知識や経験がなければ対応が難しいからです。
そのため、裁判手続きは弁護士同士が出席することとなり、当事者が出席する必要は基本的にはありません。
ただし、当事者尋問といって、当事者本人が裁判官の前で証言をする手続きのときには、本人が出席する必要があります。この当事者尋問は、夫と妻それぞれに対して同じ日に行われることが基本なので、その際に、配偶者と顔を合わせなければならない可能性が高いでしょう。
例外として、DV被害を受けているようなケースでは、配偶者と顔を合わせずに済むように遮へいなどの対応をしてもらえる場合があります。
まとめ
離婚の話し合いは、必ずしも顔を合わせる必要はなく、相手が応じてくれるのであれば電話やメール、手紙などで話をしてみてはいかがでしょうか。
別居中ということなので、相手がどのように考えているのかをまずは確認する必要があるでしょう。
ただし、相談者様の場合、ご主人に対して恐怖心をお持ちのようなので、自分が不利な形で離婚することになったり、相手が離婚の話し合いに応じてくれない場合を考えると、一度弁護士に相談することも検討する必要があるかもしれません。