内縁関係での財産分与や慰謝料請求

今回は、入籍していない事実婚の状態でも財産分与や慰謝料を請求できるか知りたいという方からのご相談です。

 

ご相談

これまで約20年間事実婚状態で生活してきた夫から一方的に別れを切り出されました。

恐らく他に好きな女性がいるのだと思います。

入籍はしていませんが、周囲からも夫婦として扱われてきましたし、夫のことを妻として支えてきました。

私は専業主婦で夫に養ってもらってきたため、自分名義の貯金などほとんどありません。

離婚後の生活が不安です。

このような場合、入籍していなくても普通の夫婦の場合と同様に、財産分与や慰謝料を請求することはできますか?なお、子どもはいません。

 

アドバイス

突然内縁のご主人から別れを切り出されて、さぞ困惑されていることと思います。私にできるアドバイスをさせていただきます。

 

内縁の夫婦でも入籍している夫婦に準じた扱いをされる

相談者様は、入籍はしていないものの事実婚状態とのことです。

このような場合、内縁関係であることが認められれば、夫婦に準じた扱いがされることになり、財産分与や慰謝料を請求できる可能性があります。

 

内縁関係であることが認められるためには、基本的に以下の条件をすべて満たしている必要があります。

①同居して生計を同一にして生活してきたこと

②婚姻届の提出をしていないがお互いに夫婦という認識を持っていること

③対外的にも夫婦であることを表明していること

 

相談者様の場合、①については満たしているでしょう。

②については、ご主人も夫婦と言う認識を持っていれば問題ないでしょう。

③については、親族や職場関係者とも夫婦同然に付き合ってきていたことや、夫の社会保険の扶養に入っていること、結婚式を挙げたこと、住民票に「未届けの妻」「妻(見届)」などと記載されている事実があれば、内縁関係であることが認められる可能性が高くなります。

相談者様達には子供はいないということですが、子供がいる場合には子供をご主人が認知しており、子どもを扶養している場合には内縁関係であることが認められやすくなります。

 

財産分与や慰謝料については基本的に当事者同士の話し合い

 

財産分与や慰謝料については、基本的には当事者同士の話し合いによって決めることになります。

財産分与は、内縁関係が続いた期間中に二人で築いた財産を分け合うこととなり、基本的には半分ずつ分けることになります。

相談者様の場合、約20年内縁関係が続いているとのことなので、この間に築いた財産を二人で分け合うことになるでしょう。

 

慰謝料については、入籍している夫婦と同様に、必ず請求できるものではありません。

どちらか一方が離婚原因を作った場合で、それが不貞行為(不倫)、悪意の遺棄(夫婦の義務である同居、協力、扶助の義務を怠ること)、DVなどといった不法行為となるときに請求することができます。

今回、ご主人が一方的に別れを口にしているようですが、もしご主人が勝手に家を出て行ってしまったら悪意の遺棄に該当する可能性がありますし、他に女性がいて不倫しているのであれば不貞行為に該当して慰謝料請求できる可能性があります。

また、このような事情がない場合でも、別れを受け入れてもらうために「慰謝料」もしくは「解決金」といった名目で金銭を支払い、関係を解消する場合もあります。

 

また、当事者同士の話し合いが上手くいかない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることもできます。「内縁関係調整調停」で、内縁関係の解消についてや、解消に際しての財産分与や慰謝料をどうするかといった問題についても調停委員を介した話し合いをすることができます。

 

もしご主人が一方的に関係の解消を迫って話し合いにも応じないような場合には、調停も検討してみてはいかがでしょうか。

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