【夫が10年以上も浮気】慰謝料はどのぐらい請求できる?慰謝料相場や注意点を事例で解説(2)

この記事では、10年以上の浮気による慰謝料の請求事例についてみていきたいと思います。

 

10年以上の浮気による慰謝料の請求事例

浮気の慰謝料相場は50~300万円になっています。
慰謝料額は増減要素などを考慮してケースバイケースで計算されるため、事例によってかなり慰謝料額が異なるのが基本です。

 

ただ、一般的には浮気しても離婚しなかったケースでは低めになり、浮気により離婚すれば高めになる傾向があります。

 

10年以上の夫が浮気している場合、どのくらいの慰謝料を請求できるのでしょうか。
参考までに実際の浮気の慰謝料請求事例をご紹介します。
浮気の慰謝料相場と比較しながら金額を確認してみてください。

 

夫が17年浮気して800万円の慰謝料が認められた請求事例

夫が17年という長期に渡って浮気をしており、妻が慰謝料請求をした事例です。
妻に認められた慰謝料額は800万円と高額でした。

 

この請求事例では、夫が妻との離婚届を偽造し、浮気相手と結婚していました。
妻は夫が離婚届を捏造していたことを知らず、子供と母子家庭のように暮らしていました。

夫は家庭に生活費を入れることもありませんでした。

 

夫が離婚届を偽造したり家庭にお金を入れなかったりするなど浮気が悪質であったため、浮気の慰謝料相場よりかなり高い800万円という慰謝料が認められました。

(東京地裁平成21年4月8日判決)

 

夫が14年浮気をして500万円の慰謝料が認められた請求事例

夫が浮気相手と10年以上の浮気をしており、妻に500万円の高額慰謝料が認められた請求事例になります。

 

この請求事例では、夫は浮気相手と14年もの期間、浮気をしていました。
しかも、浮気相手との間に子供を作り、浮気相手と結婚するために離婚届を妻に無断に提出していたのです。

そして、浮気相手との婚姻届を提出していました。
浮気相手との間にできた子供も認知していました。

 

妻は勝手に離婚届を提出されてことを知り、慰謝料請求などを求めて裁判を提起します。

裁判では妻に慰謝料500万円が認められた他、妻との離婚は無効と判断されました。
浮気相手との結婚も取り消しという判断です。

離婚が無効になったため慰謝料を請求した妻と浮気をした夫は依然として夫婦ですが、別居生活をしています。

(東京地裁平成14年10月21日判決)

 

妻が浮気をして慰謝料が100万円に減額された請求事例

妻が浮気をしていたにも関わらず慰謝料が減額されたケースもあります。
この請求事例では、最終的に慰謝料100万円が認められました。

 

先にご紹介した請求事例は長期の浮気で高額の慰謝料が認められたケースです。
対してこの請求事例では100万円に減額されるという結果でした。

 

妻は夫と性的関係が10年以上ありませんでした。
妻が男性と出会って浮気し、その後に夫が浮気をいさめましたが、妻は浮気相手と同棲をはじめてしまったのです。

 

夫は妻の浮気相手に800万円の慰謝料と弁護士費用を請求しました。
しかし、夫と妻の間に10年以上まったく性的関係がなかったなどの事情から、慰謝料が100万円に減額されるという結果でした。

(東京地裁平成10年判決)

 

10年以上の浮気に対して慰謝料請求するときの注意点

10年以上の浮気に対して夫などに慰謝料請求するときは注意したいポイントが3つあります。

ポイントに注意したうえで慰謝料請求しなければ、慰謝料の請求自体を失敗する可能性があるのです。

 

10年以上の浮気に対して慰謝料請求するときの3つの注意点を順番に見ていきましょう。

 

10年以上の浮気で慰謝料を請求できないケースもある

10年以上夫が浮気をしていても、慰謝料請求が難しいケースがあります。

たとえば、10年以上の浮気について夫から妥当な慰謝料を支払われた妻がいたとします。

妻は浮気相手にも慰謝料請求しようと思いましたが、慰謝料請求は難しいという判断でした。

 

なぜなら、夫から十分な額の慰謝料が払われていたからです。

夫などの浮気の当事者の片方から十分が額の慰謝料を受け取っている場合は、もう片方の浮気の当事者に慰謝料請求することが難しくなります。

 

この他に、浮気相手は夫が既婚者だと知らなかったケースなどは慰謝料請求が難しくなるのです。

 

夫は浮気相手に「未婚だ」「いずれ(浮気相手と)結婚したい」と常々言っていました。

 

浮気相手は過失なく夫が未婚だと信じておつき合いをしたのです。
このようなケースでは、浮気相手に慰謝料請求したくても、慰謝料請求は難しいという判断になります。
場合によっては逆に夫が慰謝料請求される可能性があるのです。

 

夫が浮気に走ったときに、すでに婚姻関係が破綻していた場合も基本的に慰謝料請求はできません。

浮気のときすでに守られるべきもの(家庭の平穏)は壊れていたからです。
浮気で婚姻関係が破綻していたのではなく、もともと破綻していたわけですから、慰謝料請求はできません。

 

10年以上の浮気で慰謝料請求できるかどうかわからない場合は弁護士に判断してもらうことをおすすめします。

 

浮気により婚姻関係が破綻したなどの証拠が必要

浮気の慰謝料請求をしても、浮気相手などは証拠がなければなかなか慰謝料請求に応じないことでしょう。

 

10年以上の浮気により慰謝料請求する場合は、浮気の証拠が重要です。
証拠がなければ言い逃れされる可能性があります。

 

浮気により慰謝料請求するときは、浮気の証拠をしっかり集めておきましょう。
10年以上の浮気の慰謝料増額要素がある場合は、増額要素を証明する証拠も集めておく必要があります。

 

浮気や慰謝料増額要素の証拠や証拠集めに疑問があれば、弁護士に相談してみましょう。

ケースにあわせた証拠について適切なアドバイスを受けられるはずです。

 

浮気の慰謝料請求には時効がある

浮気の慰謝料請求はいつでも自由にできるわけではありません。
浮気の慰謝料請求には時効があるのです。浮気の慰謝料請求の時効が過ぎると、原則的に慰謝料請求はできなくなります。

 

浮気の基本的な慰謝料請求は「3年」になります。
浮気相手と浮気の事実を知ってから3年経過すると、夫の浮気相手に慰謝料請求できないのです。

 

夫の浮気と浮気相手を知っていて慰謝料請求せず3年以上放置していたケースでは、夫の浮気相手に慰謝料請求できません。

 

浮気の慰謝料請求の時効の計算には法律の専門的な知識が必要です。
浮気の発覚から慰謝料請求まで時間が経過しているケースでは、弁護士に慰謝料請求の時効について確認してもらうといいでしょう。

 

 

長期の浮気や頻度の多い浮気は、基本的に慰謝料の増額要素になります。
夫が10年以上浮気している場合は浮気の期間が長いため、慰謝料も増額請求できる可能性があるのです。

 

ただし、増額要素があっても、要素について証拠がなかったり、効果的に主張できなかったりすると、適正な慰謝料の請求が難しくなります。

 

夫が10年以上長期で浮気をしている場合は、時効なども心配ですから、まずは弁護士に相談して請求の可否をチェックしてもらうといいでしょう。
そのうえで、事情に合わせた慰謝料の増額要素についても、弁護士に確認してもらうことをおすすめします。