夫が10年以上の長期間に渡って浮気をしている場合、慰謝料額を増額請求することはできるのでしょうか。
浮気をされていた妻にとって、浮気の長さに応じて慰謝料額を多く請求できるのかどうかは気になるポイントではないでしょうか。
この記事と次の記事で、夫が10年以上も浮気していたケースの慰謝料請求について説明します。
不倫の慰謝料額は期間の長さや回数の多さも加味される
浮気の慰謝料はさまざまな要因で増減します。
浮気の慰謝料の増減要因には期間の長さや回数の多さも含まれています。
基本的に浮気の期間が長い場合は浮気の慰謝料が増額される要因になり、浮気の回数が多い場合も慰謝料の増額要因になるのです。
浮気の期間が「長い」とは
過去の浮気の慰謝料請求の判例を参考にした場合、浮気の期間が半年になると浮気期間が長いと判断されます。
対して3カ月ほどだと短いという判断になるのです。
10年以上の夫の浮気は浮気期間が長期のため、高額の慰謝料を請求できる可能性があります。
浮気の回数が「多い」とは
浮気の回数は20回ほどの浮気(不貞行為、肉体関係)で多いとされます。
対して1~3回程度の肉体関係では少ないと判断される可能性があります。
浮気の回数をはっきりと証明することは困難です。
よって、浮気の証拠などからどの程度の頻度で会っていたかなどを検討し、浮気相手との浮気の回数を判断します。
長さや回数以外で慰謝料が増減額される要素
浮気の回数や期間以外にも浮気慰謝料の増減要因になるポイントがあります。
なお、慰謝料の増減要素があるからといって、必ず慰謝料が増減されるわけではありません。
あくまで増額につながりやすい要素や減額につながる可能性のある要素になります。
夫の10年以上の浮気で以下のような慰謝料の増減要素がある場合は、弁護士に相談したうえで慰謝料請求することをおすすめします。
夫婦の婚姻期間
夫と浮気相手の浮気の期間の長さも浮気の慰謝料に関係しますが、夫と浮気をされた妻の婚姻期間の長さも浮気の慰謝料額に関係するのです。
婚姻期間が長ければ、浮気により長く続いた家庭に亀裂を生じさせたことになります。
浮気相手と夫の年齢
夫と浮気相手の年齢も浮気の慰謝料額に関係します。
浮気している男女の年齢差が大きい場合は、年齢が上の方の思慮分別も問題になります。
浮気相手と夫の年齢が慰謝料の額の計算に関係する可能性があるのです。
浮気の主導権を握っていたのはどちらか
浮気の主導権を握っていたのが夫なのか、それとも浮気相手なのかも慰謝料の増減に関係します。
たとえば夫が浮気を主導していた場合、妻が浮気相手に夫の10年以上の浮気についての慰謝料請求をした場合は、浮気の主導者は夫だったとして、慰謝料額が減額される可能性があるのです。
また、夫が浮気相手の上司や部下だったなどの場合も、慰謝料額が増減されることがあります。
たとえば夫が上司で浮気相手が部下だった場合、上司から迫られると部下である異性は断りにくいなどの事情が考えられるため、慰謝料額に影響する可能性があるのです。
浮気相手は夫が既婚者だと知っていたか
浮気相手は夫が既婚だと知って浮気をしたかどうかは慰謝料を請求するうえで重要です。
浮気相手が夫の既婚を過失なく知らなかったケースや、夫が既婚であることを隠して浮気に及んだ場合は、そもそも慰謝料請求自体が難しくなる可能性があります。
浮気相手が夫の既婚を知ってさらに浮気を続けた場合は、慰謝料にも影響を与える可能性があるのです。
浮気相手が妊娠や出産をしたか
夫の浮気相手が夫の子供を妊娠したり、出産したりしていると、慰謝料の増額要因になる可能性があります。
浮気相手が子供を妊娠したり出産したりしている事実は、妻にとって大きな精神的苦痛になると考えられます。
妻にとっては非常にショッキングな事実であるといえるでしょう。
夫と浮気相手の間に子供がいると、慰謝料の増額につながる可能性があります。
浮気により婚姻関係が破綻したか
夫と浮気相手の10年以上の浮気により婚姻関係に亀裂が生じると、慰謝料の増額につながる可能性があります。
家庭は浮気前のように、特に何事もない状態です。
このようなケースより、浮気により婚姻関係が破綻してしまったケースの方が夫婦関係に浮気が与えたダメージは大きいといえます。
夫の浮気が原因で離婚したか
夫の10年以上の浮気で離婚したかによっても慰謝料が変わってきます。
夫の10年以上の浮気で夫婦間に亀裂が生じても、離婚していなければまだ夫婦関係を修復できる可能性があるかもしれません。
しかし、夫婦が離婚してしまうと、もはや修復の余地はありません。
夫の浮気によって離婚にいたった場合は慰謝料が高額になる傾向にあります。
夫婦の間に子供がいる
夫婦の間に子供がいた場合は、夫の10年以上の浮気の慰謝料が増額される可能性があります。
なぜなら、浮気が子供の生活や人生にも影響をおよぼすからです。
浮気によって家庭が乱れれば、子供の生活も乱れます。
そして、10年以上の夫の浮気で婚姻関係が破綻すれば子供の人生や将来にも関わるのです。
夫婦の間に子供がいれば夫の10年以上の浮気によって子供が影響を受けてしまうため、慰謝料の増額要素になります。
浮気相手の意図が悪質である
浮気相手の意図が慰謝料の増額要素になることがあります。
たとえば、夫の10年以上の浮気相手が妻に害意や恨みなどを持っており、故意で家庭を壊そうと考えて夫と浮気をしました。
浮気発覚時の夫や浮気相手の態度
10年以上の浮気が発覚したときの夫や浮気相手の態度によっても慰謝料は増減する可能性があります。
たとえば、10年以上の浮気が発覚したとき、夫はまったく謝罪せず「浮気などしていない」と否定していました。
浮気発覚後の夫や浮気相手の約束の反故
夫の10年以上の浮気が発覚したときに「もう浮気相手には会わない」「もう浮気しない」と約束したのに、その後再び浮気しました。
約束を反故にして隠れて浮気相手に会い、不貞行為を繰り返していたのです。
約束を破った場合は悪質な浮気ケースとして、慰謝料の増額要素になる可能性があります。
浮気相手の社会的地位や資力
夫が10年以上浮気したときの浮気相手の地位や資力によって浮気慰謝料が増減する可能性があります。
たとえば、夫の浮気相手が社会的地位のある人だった場合、地位に応じて慰謝料を増額できることがあるのです。
また、夫の浮気相手が豊富な資力を持っていた場合、浮気慰謝料の相場では簡単に支払われて終了してしまいます。
妻の感情がおさまりません。
よって、資力が高い浮気相手への慰謝料請求では、相場より増額して請求することがあるのです。
夫の浮気による妻の精神的苦痛の度合い
夫の10年以上の浮気による妻の精神的な苦痛の度合いも慰謝料の増額などにつながる可能性があるのです。
たとえば、夫の10年以上の浮気で妻が心療内科に通院することになり、うつ病と診断されました。
夫と妻の間に性交渉がないなどの事情があった
夫と妻の間に性的関係が長期間ないなどの理由から夫婦の片方が浮気に走ったケースや、夫婦の片方が浮気したときに長期間夫婦の間に性交渉がないなどの事情があれば、慰謝料が減額される可能性があるのです。
次回は実際に夫婦の間に10年以上性的関係がなかったため慰謝料の減額につながったケースをご紹介しています。