別居前にしておくべき準備とは?

専業主婦であった場合、育児中である場合、別居を選択することは驚くほどの生活の変化をもたらします。

 

離婚や別居を考えるまでにはなっているものの、これまで夫婦で分担できていたことも、もしかしたらあったかもしれません。

 

そのようなことも別居を選択すると、すべて自分でやらなくてはなりません。
本当に別居から離婚へと進んでもよいのかどうか、別居前にご自身の考えや気持ちをまず整理してみてください。

 

別居前にしておくべき準備

共有財産の把握

結婚した後に、購入した土地・家などの不動産、預貯金、車両、有価証券類、など財産分与の対象になる共有財産がどこに、いくらあるのかということを確認しておきましょう。

別居してからだと、通帳や、謄本など確認しづらくなってしまいます。

 

ですから、別居前に確認すべき書類としては、通帳類、証券会社の取引明細書等、不動産がある場合にはその登記簿謄本など、生命保険をかけているようならその証券類、配偶者の収入を証明する書類(給与明細や源泉徴収票、確定申告書など)があげられます。

 

できればこれらの書類は、すべてコピーをとっておくことをお勧めいたします。

 

借金についても、ギャンブルで作った借金など個人的に作ってしまったものを除いて、たとえば住宅ローンなども財産分与の対象になります。

 

不貞行為、暴力行為の証拠を集めておく

配偶者に浮気や不倫がある場合は、不貞行為の証拠を集めておきましょう。

 

・証拠となるメールのコピー
・電話の記録
・証拠写真や不貞行為を自白する音声データ、状況がわかる音声データ
・配偶者の「今後不貞行為は致しません」等の念書
・カーナビの移動記録
・SuicaやPasmoの移動記録
・クレジットカードの明細
・プレゼントなどの証拠物品があればその写真


こういったものが不貞行為の証拠となり得ます。

DVやモラルハラスメント(言葉や態度による精神的な暴力のことをいいます)がある場合は、暴行を受けた際の診断書、DVやモラルハラスメント行為がわかる音声データ、メールの写し、警察に相談などしていれば相談したことがわかる履歴、DVやモラルハラスメントを受けていたことが記されている日記などを収集しておきます。

 

別居前に一度法律相談を受ける

弁護士に確認しておくとよい事項は以下の通りです。

・今後別居から離婚へと進むとどうなるのかの見通し
・収集してきた証拠や別居前にやっておくべきことに不足がないか
・次で触れる別居中の生活費の請求について

 

別居中の生活費は婚姻費用として請求可能

婚姻費用とは、別居期間中の生活費のことです。たとえば専業主婦等でこれまで夫から生活費を受け取り生活していた方は、別居している間は婚姻費用として、生活費の請求をすることができます。

 

別居していても、婚姻関係が続く以上は、婚姻費用を請求することが可能なのです。
請求が可能になる時期は、別居を始めたときですから、別居開始後すぐに請求することが肝心です。

 

もし支払われない場合、裁判所が支払いを認めるのは「調停を申し立てたとき」からの婚姻費用についてですので、そのような場合は、すぐに調停を申し立てる必要があります。

 

婚姻費用の算定方法

婚姻費用がいくらになるかの目安として、「養育費・婚姻費用算定表」というものがあります。
この表は家庭裁判所のホームページに掲載されています。
子どもの数、夫と妻それぞれの収入をもとにして、婚姻費用が●~●万円の間という相場を知ることができます。

 

婚姻費用を請求する方法

婚姻費用を請求する方法としては2段階あり、協議で請求する方法と、話し合いがまとまらなかった場合の調停・審判を申し立てる方法があります。

 

まずは協議で請求

婚姻費用の支払いや額について、夫婦で合意ができる場合は、それで決定されます。
決定した内容は、できれば公正証書にしておき、もしも婚姻費用が支払われなくなった時のために備えておきたいところです。


「強制執行認諾約款付公正証書」にしておくと、支払われなかった婚姻費用について直ちに強制執行をかけることができます。

 

また、本人同士の話し合いが難しいと感じた場合は、交渉段階から弁護士に依頼することも可能です。

 

調停・審判

もし婚姻費用の支払いについての協議が整わない場合は、早い段階で調停を申し立てることをお勧めします。

というのは、婚姻費用の支払いは法律で決められた義務ですだからです。
たとえ相手が支払わないと言ったとしても、調停・審判においてはそれは通用しないのです。

 

婚姻費用を請求する調停は、「婚姻費用分担請求調停」といいます。
この調停の申立の手続きは簡単なので、ご自身で申し立てることができるでしょう。

申立先は、基本的には、相手方の住所地の家庭裁判所です。

 

管轄の裁判所を確認したいときは、下記のリンクを確認してください。

www.courts.go.jp

 

必要書類は下記の通りです。
・申立書及びそのコピー 各1通
・夫婦の戸籍事項全部証明書 1通
・申立人の収入関係の資料(源泉徴収票、確定申告書等のコピー ※給与明細でもよいのですが、もし給与明細を提出する場合は1年分を追って請求されるかもしれません)
・収入印紙1200円分
・郵便切手(金額は、管轄の裁判所の事件係に電話で必ず問い合わせて下さい)

 

 

申立書は裁判所のホームページでダウンロードできます

www.courts.go.jp

 

 

収入印紙は、東京家庭裁判所の場合ですが、地下のコンビニで購入することができます。
期日呼出状などの発送費用として、裁判所が使用するための切手(郵券とも言います)を納めます。
切手の内訳は、申立先の各家庭裁判所で異なります。
家事手続案内で確認してもよいですし、裁判所に電話で教えてもらうこともできます。

 

調停を申し立てると、記載内容と添付書類がチェックされ、担当の調停委員や裁判官のスケジュールが調整されます。

 

期日が決定すると「期日の指定・呼出」という書類が申立人と相手方双方に郵送されます。
相手方は、呼出状に同封されている返送書類に相手方自身の事情を書き込んで家庭裁判所に返送をします。

 

調停には原則的に本人が出席しなくてはなりません。
ないのです期日はおよそ月1回のペースであります。

調停当日は、当事者(夫と妻)と調停委員2名が調停室で話し合いをします。
調停で決着がつけば、裁判所がその内容を調停調書にします。

調停で決着がつかない場合には、調停不成立として、審判手続きに移行してください。
審判では、調停で話し合われてきた双方の言い分を踏まえて、裁判官が適正な婚姻費用の額を決定し、審判を下します。
審判の内容は審判書という書類に記載されます。

調停調書や審判書は、裁判所から当事者に渡されますので、もし支払いが滞るようなことがあれば、強制執行をすることができます。

 

まとめ

本当に離婚してよいのかどうか、自身の気持ちを冷静に整理する機会にもなりますし、配偶者と離れて暮らすことで離婚後の生活ができるかどうかの確認をする機会にもなります。
一時の感情で離婚してしまうことがないよう、別居を機会によく考えてみることが重要です。

 

f:id:samuraigyou:20210530191448j:plain