【離婚慰謝料請求と時効①】3年の時効とは?

離婚慰謝料の請求をおこなうためには時効に注意が必要です。
慰謝料請求できる理由があっても離婚慰謝料請求の時効が過ぎてしまうと慰謝料請求はできません。

 

スムーズに慰謝料請求するためにも「慰謝料請求できる期間」である時効に気を配ることが重要なのです。

 

この記事から3回にわたって離婚慰謝料請求・不貞行為慰謝料請求の時効や起算点について説明します。
あわせて慰謝料請求の時効が迫っているときの対処法である中断や中断方法についても解説します。

 

離婚慰謝料の時効は原則として3年

離婚慰謝料とは「離婚の精神的な苦痛への賠償金」です。
離婚といえばよく財産分与などが取り上げられますが、離婚慰謝料も離婚に際して問題になる金銭のひとつになります。

 

離婚慰謝料は離婚のときに必ず発生するわけではなく、離婚慰謝料の発生原因があるケースにのみ請求できます。
不貞行為やモラハラ、暴力などが主な離婚慰謝料の発生原因です。

 

離婚慰謝料の時効は原則として「3年」になっています。
この3年という慰謝料請求の時効期間は民法724条に定めがあるのです。
民法724条には不法行為の慰謝料請求は3年が時効であると記載があります。

 

不法行為という言葉から犯罪を想像するかもしれません。
不貞行為も不法行為の一種になります。モラハラや暴力(DV)なども不法行為の一種です。

不法行為とは故意や過失で相手の利益や権利を侵害することをいいます。
不貞行為やモラハラなども故意や過失で被害を受けた配偶者の利益や権利を侵害することですから不法行為のひとつに数えられているのです。
そのため慰謝料請求の時効は民法724条に定められるルール通りに「3年」となっています。

 

離婚慰謝料の請求をするときの問題のひとつに「時効の起算点はいつなのか」があります。

 

ケースで異なる離婚慰謝料の時効の起算点

離婚の起算点が変わってくることで慰謝料請求の可否まで変わってきます。
たとえば平成2年10月1日を離婚慰謝料の時効の起算点にした場合と同年11月1日を時効の起算点にした場合は、いつまで慰謝料請求が可能なのかが変わってくるのです。
前者は後者より1カ月早く時効期間が満了してしまいます。

 

対して後者は前者より1カ月ほど遅い日付まで慰謝料請求できることになるのです。
離婚慰謝料請求の準備を進めている人にとって1カ月の違いは非常に重要なポイントではないでしょうか。

離婚慰謝料請求の進め方にも関わってきます。
このように、離婚慰謝料請求の時効の起算点は慰謝料請求において重要ポイントなのです。

 

離婚慰謝料請求の起算点はケースによって異なります。
離婚慰謝料請求の時効の起算点について、5つのケースごとに図で説明します。

 

離婚慰謝料3年の時効の起算点

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不貞行為やDV、モラハラなどで夫婦が離婚したときの離婚慰謝料の請求時効の起算点は「離婚のとき(離婚が成立したとき)」です。

 

慰謝料とは心の苦痛に対して支払われる賠償金だとお話ししました。
離婚慰謝料の場合は離婚のときに心の苦痛が発生するという考えにもとづき、慰謝料請求の起算点が離婚のときになっています。

 

離婚のときから3年間は離婚慰謝料請求が可能で、離婚のときから3年間離婚慰謝料の請求をせずに放置してしまうと、離婚慰謝料の請求が原則的にできなくなってしまうのです。

 

不貞行為をした配偶者などと離婚して慰謝料請求するときなどによく使われる時効の起算点になります。

 

慰謝料分割払いのときの時効の起算点

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慰謝料は一括払いが基本です。
しかしながら慰謝料はまとまった額になることが少なくないため、支払いする側と受け取る側の交渉次第では分割払いが使われることもあります。
分割払いの場合は慰謝料時効の起算点が変わってくるため注意が必要です。

 

離婚慰謝料を分割払いで受け取るときの時効の起算点は「最後に慰謝料を支払ったときから3年」になります。
どの時点で離婚慰謝料の分割払いが滞ったかによって時効の起算点が変わってくるのです。

たとえば令和2年10月31日が離婚慰謝料の分割払い分が最後に支払われて以降滞納しているとすれば、原則的に10月31日から3年が時効期間になります。

慰謝料を分割払いで受け取るときに支払いが滞ったら時効と起算点に注意して回収を進める必要があります。

 

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