今回は、相手が浪費していた場合の財産分与の割合についてのご相談です。
ご相談
夫と離婚の話を進めています。
お互いに色々言い分はありますが、不倫などが原因ではないため慰謝料はなしというところまでは話し合いました。
現在、財産分与について揉めています。
我が家は共働きで生活費を出し合っていたのですが、夫は浪費家なので貯金がほとんどありません。
私は生活費を出した残りをほとんど貯金していたので、ある程度まとまった貯金があります。
夫は私のこの貯金は財産分与で半分ずつ分けるのが当然だというのですが、私は納得ができません。
このような場合でも、財産分与は2分の1ずつとしなければいけないのでしょうか。
アドバイス
浪費家の配偶者がいる場合に、財産分与で2分の1ずつ財産を分けることには納得できませんよね。私にできるアドバイスをさせていただきます。
財産分与の原則は2分の1ずつ分ける
財産分与の割合については、夫婦での話し合いによって自由に決めることができますが、特別な事情がない限りは2分の1ずつ分けるのが原則です。
配偶者が浪費家で、財産の形成に貢献していない場合には、相手にその理由を伝えて自分の取得する財産の割合を高くするように交渉することになります。
相手がそれに応じない場合には、家庭裁判所に財産分与調停を申し立てることになるでしょう。
調停では、調停委員を介して財産分与について当事者の意見を調整していき、合意することを目指します。
自分が望む財産分与割合やその根拠について、調停委員の理解を得られるように主張するとよいでしょう。
ただし、最終的に当事者同士が合意しなければ、調停は不成立となって終了してしまいます。
調停が不成立となった場合、自動的に審判の手続きが開始します。
審判は、裁判官が必要な審理を行ったうえで、一切の事情を考慮の上財産分与について決定します。
裁判所が財産分与割合を2分の1ずつにしない場合
裁判所はどのようなケースで、財産分与割合を2分の1ずつではない割合にするのでしょうか。
財産の形成における夫婦の貢献度に大きな偏りがあると認められる場合には、2分の1ずつではない割合が認められる可能性があります。
たとえば、スポーツ選手など、夫婦の片方の特殊な才能により多額の資産を形成した場合には、半分ずつ分けるのは不公平だと判断されることがあります。
浪費については、何をもって浪費とするかの基準が不明確で、証明することが難しいのが実情です。
家計に影響を与えない範囲で趣味にお金を使ったり欲しいものを買うことは、浪費と認められるとは限りません。
相談者さんのように、ご主人が必要な生活費は負担したうえで、残りのお金を自由に使ってしまい貯金がないようなケースであっても、裁判所がどのように判断するかは残念ながらわかりません。
今できる対策
財産分与の対策として、今できることについて紹介します。
①離婚まで長引きそうなら別居を検討
財産分与は、別居するまでに築いた財産を対象とすることが原則です。
別居後に形成した財産は、夫婦で協力して築いた財産と考えれらないからです。
相談者さんがご主人と一緒に暮らしている限り、今から相談者さんが貯めたお金についても財産分与の対象となってしまいます。
これ以上自分の財産を相手に渡さないようにするためには、離婚成立まで長引きそうであれば別居を検討するのも選択肢の一つです。
②相手が財産隠しをしていないか確認する
離婚を意識すると、財産分与の対策として自分の財産隠しを画策する人もいます。
相手が貯金はないと言っていても、実際には秘密の口座を作っていて財産を隠し持っているような可能性もあります。
相手が不自然に給与口座からお金を引き出していないかなど、確認した方がよいでしょう。
③相手が浪費についての証拠をそろえる
相手との話し合いや調停の際、相手が浪費した内容や時期について、できるだけ具体的に主張することが有効です。
相手が浪費した内容がわかる証拠をできるだけ揃えましょう。