今回は、義理両親との関係を理由として離婚したい方からのご相談です。
ご相談
夫の両親との関係が上手くいかず、離婚をしたいと考えています。
夫の両親はとても過干渉で、私たち夫婦の問題にことごとく口を挟んできます。
子育てについても私のやり方がおかしいと否定して自分のやり方を押し付けて来たり、事前の連絡もなく突然家を訪問されたりしてもう限界です。
夫には何度も義理両親に過干渉を止めるよう注意してほしいと頼んでいますが、口では分かったと言うものの、ほとんど見て見ぬふりで一向に改善しません。
このような場合、私から一方的に離婚を求められますか?
アドバイス
義理両親が過度に干渉してくるのはストレスになりますね。
私にできるアドバイスをさせていただきます。
義理両親との関係だけで一方的な離婚は難しい
現在の状況で離婚ができるかということですが、ご主人が離婚に同意するのであれば、どのような状況であっても離婚は可能です。
ただし、ご主人が離婚に同意しない場合、義理両親との関係だけを理由とした離婚請求が認められる可能性は低いでしょう。
一方的な離婚請求が認められるためには、法定離婚事由という、法律上離婚が認められる原因があることが必要です。
その中で、認められる可能性のある事由としては、「婚姻を継続しがたい重大な事由」になりますが、義理両親の過干渉という事情だけでは通常離婚は認められません。
義理両親との関係性と夫婦の関係性はまったく別のものと判断されるからです。
「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められるためには、義理両親との不仲というだけでなく、義理両親との不仲がきっかけとなり、夫婦関係そのものが破たんしている状況であることを証明することが求められます。
たとえば、義理両親との関係を取り持つように求めても夫がそれに全く応じず、それどころか義理両親の肩を持って妻を責め立てる状況が続いており、妻が心身に支障をきたしたような場合や、長期の別居に至った場合であれば「婚姻を継続しがたい重大な事由」と判断される可能性があります。
相談者様のケースのように、夫に両親に注意するように求めても分かったと言うだけで実際には何の対処もしないという場合、今の段階では離婚が認められる可能性は低いかもしれません。
まずは離婚の話し合いを
このような場合に離婚を望むときは、まずは夫にはっきりと今の状況が改善しなければ離婚したいという意思を伝え、話し合いをすることになるでしょう。
離婚を考えるほど妻が悩んでいることに気が付いていない夫もいるので、はっきりと離婚意思を伝えることで、ようやく義理両親への対応を真剣に考え、状況が改善する場合もあるでしょう。
当事者同士では冷静に話し合いをすることが難しい場合、家庭裁判所に調停を申し立てる方法もあります。
調停では、調停委員が当事者双方の話を聞いたうえで、離婚についての助言をして意見の調整を図っていきます。
調停委員には離婚するかどうかを決める権限はありませんが、調停委員に共感してもらい離婚したほうがよいという助言を引き出すためには、離婚したい理由を具体的、客観的に主張することが大切です。
感情的に義理両親からされた嫌な思いを訴えても、あまりよい印象は与えないので気をつけましょう。
調停では、最終的には当事者双方の合意ができなければ離婚は成立しません。
その場合、裁判を検討することになります。
裁判では、夫婦関係が破たんしていることを主張、立証する必要があります。
裁判での離婚が難しいのは上述の通りなので、相手との話し合いにより、相手の希望する離婚条件をある程度受け入れるなどして、相手が納得するように話し合いを進めることで離婚に同意してもらう方法もあります。