今回は、自分が有責者の場合に離婚したいというご相談です。
ご相談
私は不倫をしてそれが妻にばれてしまいました。
私としては、すでに夫婦関係はずっと前から冷え切っていることもあり、このまま離婚したいと思っています。
有責者からの離婚請求は認められないと聞きましたが、やはり私から離婚を請求することはできないのでしょうか。
妻に離婚したいことをやんわり伝えたことはありますが、はっきりした返答はありませんでした。
私としては調停や裁判になってでも離婚したいです。
アドバイス
有責配偶者からの離婚請求が認められるかは気になるところですね。私にできるアドバイスをさせていただきます。
1.離婚裁判では、法定離婚事由がなければ離婚できない。
相談者さんは、調停や裁判になってでも離婚したいとのことです。
まず、調停については、話し合いの場が家庭裁判所になって調停委員が介入することになるものの、基本的に当事者間の話し合いとなります。
相手が合意してくれない限り、離婚することはできません。
ただ、相手が合意してくれるのであればどんな理由であっても離婚は可能です。
調停が不成立となり、離婚裁判をする場合には離婚できる原因が限定されます。
「法定離婚事由」のどれかに該当することが必要です。
法定離婚事由の中には、「不貞行為」があります。
今回相談者さんは自身が不貞行為を行ったということで、法定離婚事由に該当しているかのように見えます。
ですが、これはあくまで不貞行為をされた側からの訴えによる場合に認められるものです。
基本的に、不貞行為をした本人から不貞行為を理由とした離婚請求は認められません。
そうなると、それ以外の法定離婚事由があるかどうかが問題となります。
相談者さんの書かれている、「夫婦関係はずっと前から冷え切っている」というのがどのような状況かわかりませんが、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する場合には離婚が認められる可能性があります。
ただし、この離婚事由が認められるには、通常は長期間別居しているなどと言った客観的にみて夫婦関係が破たんしているとみなされるような状況であることが求められます。
「夫婦関係はずっと前から冷え切っている」と思っているのは、相談者さんだけという可能性もあります。特に、不貞行為を行った有責配偶者である相談者さんからの離婚請求が認められるのは、とてもハードルが高いのが実情です。
裁判をしても離婚が成立する可能性は低いでしょう。
2.離婚を望むなら、相手との条件交渉が現実的
では、どうしても離婚したい場合はどうすればよいでしょうか。
このような場合、現実的な方法として、相手の望む条件をできるだけ受け入れ、相手に有利な条件での離婚を協議や調停によって成立させるのがよいでしょう。
相手の性格にもよりますが、相手からの愛情が冷めている状態での結婚生活を継続させるよりは、自分の希望条件がかなうのであれば離婚に応じようと考える人が多いでしょう。
相手が離婚を拒否する場合には、なぜ離婚したくないのかを冷静に尋ねましょう。
金銭的な不安がある場合や、子供が卒業するまでは待ってほしいなどというケースも多いので、それであればその問題を解消するような提案をしてみましょう。
離婚をする際には、様々な条件を決めることになります。
財産分与、慰謝料、親権、養育費などについて取り決める必要があります。相手の希望に耳を傾け、できるだけ沿うような内容にしましょう。
けんか腰の態度だと、相手も頑なな態度になってしまうことも多いので、できるだけ冷静な話し合いをすることが大切です。
なお、一方的に別居を続ければ離婚が認められると考える人もいますが、あまりおすすめできません。一方的な別居は「悪意の遺棄」と認定されることがあり、ますます自分の有責度が高くなります。場合によっては慰謝料が高額になったり、離婚請求においても不利になる可能性があります。